目次
羽田新ルート 江戸川区 補足
江戸川区を通過する、南風・北風の記事で詳細は書きましたがそれ以外の情報をここに記載します。
「羽田空港のこれから」の資料全般に言えることですが、経済効果などのメリットについては具体的に記載されていますが、落下物、騒音、不動産価値などネガティブ要素については楽観視しているかのような書き方をしていることがとても心配です。
「羽田空港のこれから」に記載のないルート
江戸川区上空を通過するルートは着陸・離陸とも複数ありますが、「羽田空港のこれから」の説明資料には記載の無いルートが存在します。
「1. 北風 離陸 6:00~7:00/11:30~15:00/19:00~23:00 (現行ルート)」
https://haneda-airport.info/tokyo/edogawa-north
新ルートは「案」や「想定」と記載されている箇所がありますので、まだ確定はしていません。(羽田空港のこれからv3.0時点)。
ただし、新ルートでも「これまでと同じ経路」と記載されている箇所は現行ルートのことを意味していますので、十分な実績データを元に詳細に記載することは可能はなずです。
航路や騒音などのモニタリング内容は、羽田空港飛行コースホームページ でわかりやすく見ることができるとありますが、離陸便は陸域に入ったあとすぐに見ることができなくなります。
南風悪天時に江戸川区に酷い騒音をもらたらす着陸時のルートや騒音は、上記のホームページで確認することが出来ますが、リアルタイムで見れず公開されるのは翌日以降、システム障がいも多くデータが欠損し確認できないこともよくあります。
正確なルートを確認したい場合は、以下のようなオープンソースのサービスで情報を集めることをお勧めします。騒音の大きさを確認することはできませんが、複数のサービスを併せて使うことで正しい情報を得ることができます。
江戸川区 航空機騒音の調査資料
江戸川区では年間を通して騒音のモニタリングを行っており、通過した機数や騒音など詳しいデータを公開しています。
PDF資料
「着陸機による騒音」に記載されている、南風悪天時の江戸川区を横断する着陸ルートは(資料1の図)、600m~1200m程度を通過しています。
この高度は今後都心を通過することになる新ルートと同程度になりますのでどれくらいの騒音が発生するのか参考になります。
着陸機のルート
江戸川区の騒音測定地点の図に、「羽田空港のこれから」の該当高度の騒音値(dBデシベル)を追加した。
江戸川区 ホームページ 航空機騒音
平成28年度着陸機騒音調査結果(PDF:518KB)
平成28 年度航空機騒音の調査結果 P.6より引用
①1200m(約4000フィート)付近を通過する新ルート該当地域
- 埼玉県 (浦和市・川口市・戸田市・和光市)
- 東京都 (練馬区・板橋区・北区・豊島区・中野区)
②900m(約3000フィート)付近を通過する新ルート該当地域
- 埼玉県 (浦和市・川口市・戸田市・朝霞市・和光市)
- 東京都 (練馬区・板橋区・北区・豊島区・中野区・新宿区・渋谷区・目黒区)
③600m(約2000フィート)付近を通過する新ルート該当地域
- 東京都 (渋谷区・目黒区・品川区・港区)
羽田に離発着する現行ルートで最も低い高度で陸地を通過する場所は、江戸川区の葛西臨公園駅から江東区の新木場駅近くの砂町運河付近です。
新ルートではこれよりさらに低い600m以下で住宅街を飛んで行くことになりますので、これまでに経験したことのない騒音が発生することになります。
離陸機のルート
江戸川区の資料にも、市川塩浜駅付近から陸地に入るルートは記載されていない。
江戸川区 ホームページ 航空機騒音
平成28年度離陸機騒音調査結果(PDF:518KB)
平成28 年度航空機騒音の調査結果 P.5より引用
「離陸による騒音」に関して、市川塩浜駅や浦安市の行徳駅付近から船堀駅付近を通過する「記載のないルート」は書かれていないため一般的に通過する予定のルートのみが記載されています。
記載されているルートには左右5kmの幅があるようですが、これが天候によって1日中通過するようになれば話しは変わってきます。
落下物の危険や騒音が1日中発生する可能性があるのであれば、正確な情報を記載するようにお願いしたいところです。これは江戸川区の問題ではなく、国土交通省の話しで「羽田空港のこれから」からわかることは、なぜこんなに大事な情報を正確に伝えようとしないのかという疑問しか沸いてきません。
苦情の件数
江戸川区 ホームページ 航空機騒音
平成28年度着陸機騒音調査結果(PDF:518KB)
平成28 年度航空機騒音の調査結果 P.5より引用
江戸川区は苦情の件数も公開してくれているため、羽田の拡張と苦情の推移が良くわかります。平成22年(2010年11月)にD滑走路が完成しましたが、冬だったこともありこの段階ではまだ苦情が少ないことがわかります。D滑走路の完成から平成26年(2014年)まで段階的に路線の拡張が続き年間44万回の離発着が可能になったのと同時に苦情の件数もピークを迎えています。
同じ人が何度も苦情の電話を掛けた場合カウントされるのかもしれませんが、平成21年(2009年)のD滑走路ができる前と比べると増加していることがわかります。
10件だったものが、150件に増加していますので実に15倍です。
平成27年(2015年)以降は苦情の件数が減少していますが、単純に通過する航空機が減少した事もあると思います。ただし南風悪天時ルートは羽田空港付近が悪天候の時にしか使われないルートのため天候によって左右されます。
苦情が減少した原因の別の理由に、苦情を言っても何も変わらないと諦めてしまった人も多いような気がします。実際に私の近所の方も諦めムードで家を買ってしまったことを後悔している方が沢山います。
「騒音で困っている方の思いは深刻です」とあるように、苦情の内訳の大半が騒音に関する事だと推察できます。飛び始めはあまりにも低い高度で驚くと思いますが、それ以上に騒音が我慢ならない状況になります。
苦情件数は江戸川区くらいしか公開してくれていませんので貴重なデータです。
羽田空港離発着機の最大の騒音地域になっている千葉県は公開していません。
2010年のD滑走路完成後から7年間分の膨大な苦情データを積極的に公開してもらえれば、そのデータの内訳から新ルートの地域で今後どのような問題が起きるのか容易に特定できます。
江戸川区まとめ
他の区や他県でも公開していないデータや独自の調査を積極的に実施し公開してくれていますが、北風時の離陸新ルートがこれまでよりも低高度になり船堀駅や新小岩駅付近の騒音が悪化します。
江戸川区の東側は時間帯によって通過しない時間ができますが、南風時のA/C滑走路から離陸する新ルートは東京湾上で途切れているため今後は双方の航空機が通過する可能性があります。
北海道・ヨーロッパ・アメリカ方面の便が市川、松戸方面を通過し、西日本・中国・韓国方面が江戸川区を通過するのではないかと思います。
現行ルートの12便から22便に増便するのがこのルートではないでしょうか。
もし江戸川区に新居や引っ越しを考えている方はルートが確定した後に検討することをお勧めします。それまで待てないという方は駅からは離れますが、ディズニーランドに近い南葛西付近をお勧めします。